其の三  仮説をたてるためのデータ解読=理由の探り方

其の二でお伝えました通り、データは「何のために」という目的ありきで作成されています。
では、その目的を実行してこそデータを蓄積してきた意味が発揮されるということです。

大きな目的は『集客力=売上向上』のためです。過去の売上値を細分化して蓄積し、どこからどの様にその売上が生まれたか?をしっかりと認識するところからです。そして、その売上が生まれた理由は何か?を追求したいと思います。

売上向上した理由を売上データを細分化し、徹底的に探る。

何も行うことなく売上が生まれることはありませんよね?
必ず何かを考え実行されたことが、売上という成果=結果に繋がっていると考えます。その結果が、当初想定した値よりも大きいか、小さいかというギャップが生まれた理由が何かを探ることが大切です。探った結果たどり着いた理由は、正解ではなくあくまでも仮の答え=仮説です。
その仮説が正しかったどうかは、実行後の成果が示してくれることになります。

私たちが、相談をいただき最初に行うことは「過去の実績を確認すること」というのは既にお伝えしたと思います。当然、過去の実績データが、私たちが望む細分化された実績データであれば申し分無いのですが、そういう訳にもいかずほとんどが、私たちがある程度後追いで収集し加工したデータです。
そのデータを一つのベースとして、過去の実績が映し出す施設の特性を基本として捉えます。

解読ポイントとして『一つの軸』から考え特性を探ることを行います。
例えば・・・・・
   ①月別稼働=集客データから考えるエリアの季節特性  (時間という軸)
   ②顧客属性データから考えるユーザー特性       (顧客という軸)
   ③客単価データから考える価格特性          (単価という軸)
   ④部屋タイプ別データから考える客室利用特性     (部屋という軸)
   ⑤チャネル別集客データから考える市場ニーズ特性   (販売先という軸)
など、数値が作られた・作られなかった理由がどこにあるかを各視点で探っていきます。

また、軸と軸を掛け合わせることでより濃く特性が確認できることもあり、仮説を立て易くなります。

一般的に考えれば、どの地域も8月は、ご家族連れが多くなり一部屋あたりの利用人数も増加傾向にあると考えます。当然ながら『夏休み』という長期休暇が理由ですが、施設によっては客単価が違いますし、販売先の実績データも異なり市場ニーズに違いが現れます。それらを理解して、どこにどのような販売を仕掛けるかが、前年の実績を踏まえて考える必要があります。

上記例には挙げていませんが、予約が入ったタイミング(リードタイム)も季節によって違いができますし、お部屋タイプによっても異なる結果が得られると思います。それらを理解することでどのタイミングでどのようなプラン設定を行い、どこで販売することが望ましいかが想定できます。全て仮説です。実行して本当に想定したような結果になるかは、実行後の成果にて理解できます。

過去の売上データをあらゆる視点から分析し、仮説を立てる。

仮説を立てる上で忘れてはいけないことがあります。
過去の蓄積データからは読み解くことができないポイントを踏まえなければならないこと=社会状況です。現在の世相がどこにあるか?を異業種の状況などから理解する必要性もあります。また、特に新たな取り組みにチャレンジする場合、社会動向傾向を踏まえ先読みする力も必要になります。タイミングが大切ということです。自社の体力、特性などを考慮し、先手を取ることが有効的なのか、それとも後出しジャンケンでも十分に効果を得られるか、などを判断する必要もあります。必ずしもトレンドに乗ることばかりが有効とは限りませんので、自施設特性をしっかりと理解し利点から逸脱することの無いように新たな戦略を組み立てることをお勧めします。